突然のことで、頭が追いつかないまま退院の日が近づいている、という方も多いと思います。順番に整理していきます。
まず病院の中に頼れる人がいます
病院には「地域連携室」や「医療相談室」という窓口があります。担当しているのは医療ソーシャルワーカーという専門職で、退院後の生活をどう整えるかを一緒に考えてくれます。介護保険の手続きや、退院後に使えるサービスの調整も相談できます。 看護師に「退院後のことを相談したい」と伝えるだけでつないでもらえます。一人で抱え込む前に、まずここに声をかけてみてください。
介護保険の申請は早いほど良い
申請窓口は住んでいる市区町村の介護保険担当課、または最寄りの地域包括支援センターです。本人が動けなくても、家族が代わりに申請できます。必要なものはこれだけです。
- 介護保険被保険者証(65歳になると自動的に届いています)
- 本人確認書類
- 申請書(窓口でもらえます)
主治医への意見書は市区町村が直接依頼するので、家族が用意する必要はありません。
早めに動いた方がよい理由は単純で、認定が出るまで原則30日かかる一方、サービスを使えるのは申請日まで遡るからです。退院を待たず、入院中に申請できます。
認定調査のとき、意識すること
申請後、市区町村の調査員が本人のもとを訪ねて聞き取りを行います。入院中なら病室で行われることもあります。
このとき、普段の様子を正直に伝えることが大切です。調査当日だけ頑張って「できます」と答えてしまうと、実際より軽い認定が出てしまうことがあります。転倒しやすい、時間がかかる、一人ではできないことがある、そういった日常の状況をあらかじめメモしておいて、調査員に見せると助けになります。
認定結果が届いたら
申請からおよそ1ヶ月後、自宅に認定結果が郵送されてきます。結果は「非該当」「要支援1・2」「要介護1〜5」のいずれかです。
要支援・要介護と認定されると、介護保険のサービスが使えるようになります。ただし、認定証が届いてすぐサービスが始まるわけではありません。次のステップがあります。
ケアマネジャーを選ぶ
要介護1〜5の認定が出たら、まずケアマネジャーを選びます。ケアマネジャーは正式には介護支援専門員といい、どのサービスをどの頻度で使うかをご本人・家族と一緒に考え、サービス事業者との調整も担ってくれる人です。費用は利用者の負担なしです。
ケアマネジャーは「居宅介護支援事業所」という事務所に所属しています。どこに頼めばよいかわからなければ、地域包括支援センターか市区町村の窓口で近隣の事業所一覧をもらえます。最終的には相性も大切なので、最初の一事業所に決めてしまっても、合わなければ途中で変更できます。
要支援1・2の場合は、ケアマネジャーではなく地域包括支援センターが窓口になります。
ケアプランができると、サービスが始まります
ケアマネジャーが決まると、ご本人の状況をもとにケアプランを作成します。ここで初めて、具体的なサービスの内容と頻度が決まります。
使えるサービスは大きく分けると以下です。
- 訪問介護 ヘルパーが自宅を訪問し、入浴・排泄・食事の介助や掃除・洗濯などを行います
- 通所介護(デイサービス) 日中、施設に通って食事・入浴・リハビリを受けます。家族の介護負担を減らす意味でも使われます
- 短期入所(ショートステイ) 数日〜数週間、施設に泊まります。家族が休息を取りたいときや、急な用事のときに使えます
- 福祉用具貸与 介護ベッド・車椅子・手すりなどをレンタルできます。購入より貸与が原則です
費用について
サービス費用の自己負担は原則1割です。所得によって2割または3割になる場合があります。ただし、要介護度ごとに「区分支給限度額」という上限があり、それを超えた分は全額自己負担になります。ケアマネジャーが限度額の範囲内でプランを組むので、基本的に知らないうちに超えてしまうことはありません。